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ひろぽんとおかんの韓国紀行

以前ナイロビのゲストハウスで出会った旅するお医者さんの
おかんと一緒にいった韓国旅行記です。
ひろぽんとおかんの韓国紀行

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昔、遠足や修学旅行の出発の日の朝は
いつもより早く目が覚め、出発が待ち遠しかった。

8月11日は大阪のおばちゃんである母(以後、おかん)には
まさにそんな日だったのだろう。

 「はよ起きや、もう行くで」

家出発は6時半の予定だった。しかし6時過ぎ、家の前に
タクシーが僕ら母子をドアを開けたまま待っていた。
もちろん、おかんのメイクはバッチリである。

 はいはい、準備は出来てます。

添乗員さながら、空港での搭乗手続きからイミグレの
意味の説明、搭乗ゲートまでご案内。

25年ぶりという飛行機の旅から初めての海外と
何もかも新鮮なようで、ずっと興奮している様子。
ヨン様には会えんのやで、と再度確認しておく。

実家からは飛行機の離着陸がよく見える。いつも
ベランダで洗濯物干しながら見上げていた飛行機に、
今日は自分が乗る側である。
銀河鉄道999を見上げる星野鉄郎母子の気分か。

いつもは窓際を死守する俺の行動パターンは
この日だけはおかんに譲った。窓から眼下を遠ざかる
我が街を、いつまでも窓に顔をつけて眺めていた。
化粧が窓に付くで、とは言わないでおいた。

おかんは6人兄弟の次女として滋賀県に生まれる。
中学卒業後、大阪に出稼ぎに出、万博でコンパニオン
などもしていたのが過去の栄光とのこと。
19才で同い年の左官見習いと結婚。俺の両親である。
20歳で俺を生み、23歳で弟を生んだ後、32歳で酒乱の
旦那、つまり親父と離婚した。俺12歳、弟9歳だった。
以後、女手一つで二人の息子を大学まで卒業させた。
医師一人、一級建築士一人が出来上がった。
その代わり、趣味の編み物や着物の着付けはおあずけ、
旅行も行かず、人生の4分の1を子育てに費やした。
今は3人の孫と過ごす時間が楽しみの大部分を占め、
その余りの時間で、韓流ドラマに涙を流す。

 「今年の盆休みは一緒に海外旅行行くか?」
 「そう? そしたら韓国がええな」
 「韓国でええんか? 北海道より近いんやぞ?」
 「ええねん、近くて」

言いたいことはわかっております。ベッドを撤去された
俺の部屋の壁にある等身大のヨン様が微笑んでいる。

ソウルの仁川国際空港に着いてからは多弁が無口になり
俺と離れると不安そうに足を速め、俺は歩行を緩める。

 「ここで入国審査うけるんやで」
 「どうしたらええん?」
 「パスポート渡してニコニコしてたらええねん。
  何か聞かれたら、さいとしーいんぐ、って連呼し」

俺が止められる確率の方がはるかに高いっちゅうねん。
止められたことないけど。いや、あるか…日本で…。

 「ここで両替するで」
 「韓国語わからんからあんたやってきて」
 「はいはい、ちなみに俺もわからんで」

そして空港を出るといきなりのハプニング(?)。
ホテルまでの送迎バスが来ない。ガイドがいない。
おかんはまた不安がったが、そんなもんなくてもいい。

 「さぁ、焼肉食べ行こか」
 「いこいこ」

二人でソウル市内行きの公共バスに乗り込んだ。
先導してはいるが頭は上がらない。

こんな感じで韓国2泊3日の旅が始まった。

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空港を出発したバスは高速道路でまっすぐ市内へ。
バスの入り口が右側にあることや、右側通行が
えらく驚きのようだ。

 「ここの車外車ばっかりやなぁ」
 「国産車がほとんどで日本車と欧米の車は少ないで」
 「だってみんな左ハンドルやで」

ハンドルが左にあるのが外車の印なのだそうな。

俺のこれまでの貧乏旅行では、一泊5ドル以下が
宿探しの相場。部屋にベッドが並び、その一つを
自分の寝床とする、いわゆるドミトリータイプの
部屋で、どこかの旅人と情報交換しながら旅をする。
旅費を極力浮かすには、まず切り詰めるのが宿代。

いろんな旅のスタイルがあるが今回はこれまでと違う。
ソウルでの宿泊先はロッテホテル。高級ホテルだ。
玄関に近づくと、ホテルマンが遠くから近付いて来て
我らの荷物を受け取り、ロビーを案内してくれた。
ロビーには滝があり、ピアノの音色が優しく出迎え、
きらびやかな天井は高くにあった。

チェックイン手続きは、綺麗な女性の流暢な日本語。
一方、大阪のおばちゃんは貴婦人にでもなった気分なのか、
涼しげにロビーのソファーに座って俺を待つ。

部屋は実際のところ思ったほど豪華ではなかったが、
窓からはソウルの街を歩く人が小さく見えた。
きっと夜景が綺麗に違いない。

時は13時過ぎ。
部屋から2日目のツアーと観劇の手配を済ませる。

 「ご飯食べたら南大門市場に行こうや。」
 「じゃあ市場周辺で昼飯にしよか」

ホテルを出て地下鉄の駅に向かう。一駅の距離だが
公共機関を使って異国を感じてもらおうとの意図だ。
途中、ソウル一の繁華街、明洞(ミョンドン)の街を
徒歩で過ぎたが、若者の街には興味がないらしい。

 「この椅子固いわぁ」「キムチの臭いせぇへんな」

地下鉄の乗客が日本語を理解しないことを祈った。

南大門市場に入るといきなりの店の客引きに驚いていたが、
そこは大阪のおばちゃん。

 「海苔いかがですか?安くしますよ(日本語の呼び込み)」
 「まだいらんでぇ、荷物になるもん」

食品や衣料品、日用雑貨の店、宝石店を一通り見て周り
結局、海苔を含めたお土産を初日に買い終わっていた。
俺もその合間に、今度の海外研修用のカバンと眼鏡を購入。
おかんはそのカバンに自分の土産をしっかり詰め込んでいた。

 「もうええで、帰ろか」
 「焼肉は?」
 「もうお腹一杯やわ」

チヂミにトッポギ、屋台で時々つまんだせいか、
焼肉どころではなくなったらしい。
しかし「マシッソヨー(美味しい)」を覚えてご機嫌だ。

気付けば既に空は暗くなりかけている。
一旦ホテルに帰って休んだ後、空腹になるまでに
垢スリに行こうとの提案は快諾された。
俺もしっかり垢を落とそう。

ホテルに戻るとおかんはホテルの中を探検にでかけ、
俺は自分のベッドの上で、オリンピック観戦。
足が痛い。そして徹夜明けの俺は、やはり居眠り。

気付けば夜11時半・・・11時半?!

 「おか〜ん、起こせよ〜!」
 「私も寝てたし、気持ち良さそうに寝てたから」

普段は遠慮なく起こすくせに。テレビ見とるわ・・・。

 「今から焼肉食いに行こか?」
 「もう寝る。あんただけ行っといで」

ということなら俺も遠慮なく寝かせてもらいます。

明日は冬のソナタツアーやで。真夏やのに。
ヨン様には会えんのやで! 何べんでも言うたる。

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朝7時、十分な睡眠時間のおかげで爽快な朝を迎える…
はずだった。外は大雨。窓から見るソウルの街が霞む。
その分気温が下がり暑くはなかったが…。

 「せっかく楽しみの冬ソナツアーやのに雨で残念やな。」
 「この方が雰囲気あってええんちゃう?」

俺の人生はおかんの陽転思考に支えられてきたな。
さすがです。

ホテルにお迎えが来て、おばさま達を乗せたバスが、
ロケ地があるソウルから車で1時間半東の春川(チュンチョン)
という街に向かう。そんなツアーを予想していたが、
色メガネをかけた胡散臭い男性ガイドが我々を乗せたのは
5人乗りの四駆。そして客は我々2人だけ。

今の流行りはチャングムの誓いツアーと済州島の大王四神記の
ツアーなのだそうな。それは勉強不足でした。
しかし、かつてあったようなバスを何台も引き連れた団体様で
行くより、静かに、しかも早く回れそうだ。悪くないと思われる。

ガイドと3人で1時間半のドライブ。
出発時から徐々にワイパーの動きが早まり、おもろいガイドの
話に笑っているうちに、車は郊外に出、ワイパー全速になった。
昔音楽室で見たメトロノームを思い出す。どこまで早くなるか
って遊んだ覚えがある。しっかり先生に叱られたことも。

天気だけが心配だったが、おかんの心配は別のところにあった。

 「トイレに止まってくれる?」

もうすぐ着きますからあと5分我慢してください、の言葉に
若干苛立ちの表情を見せたところを見ると、さては限界?
そこまで我慢せんでええのに。これを機に、韓国でおかんが
飲むお茶の量が激減したのは言うまでもない。

最初のロケ地は南怡(ナム)島という小さな島にあった。
湖を渡る船を待たせて、雨の中、トイレからおかんが走る。
幸い、船が出る頃に雨脚が緩くなった。

小船の客の数は10人ほどか。島に渡ると、おかんまた大興奮。
ドラマをほとんど観てない俺にはよく分からないので早送り。

メタセコイヤの並木道 …普通に綺麗です。
ファーストキスのベンチ…粘土でできた雪だるま2体。
チュンサンのお葬式場…ただの湖岸。おかんボーっとする。
カフェ「恋歌」…入っていない。
 
島を出て、今度は街に移動。

春川明洞通り…劇中と同様にクリスマスツリーが…
春川高校…壁をよじ登ったらしい。裏情報あり。
ユジンの走った道…チェジウは確かにかわいい。
チュンサンの家…めっちゃ狭かった。
孔之川の垣根道…白い垣根はなくなっていた。

遅めの昼食(ダッカルビ)…美味かった。

以上。

ちなみに、おかんは俺に解説するという気が回らないほど
ドラマの世界に戻っていた。怒るから邪魔せずにおいた。
全部見ておかんは非常に満足げ。雨止んで良かったなぁ。

さて、旅の中で一つだけ自分にも楽しみを用意している。
今夜のソウルが楽しみだ。

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春川(チュンチョン)からの帰りの車中では、
おれもおかんも歩き疲れてずっと寝ていた。
ガイドさんはただの運転手となり、時々起きては
キョロキョロ景色見る、俺かおかんに声かける程度。

とはいえ、彼の恋愛話や軍隊時代の話は、正直な
内容でかっこつけ的でなく、かなり面白いものだった。
明日の予定がないこともあり、車中で今流行の
「チャングムの誓い」の撮影スタジオ見学ツアーを手配。
といってもガイドさんにお願いした簡単な手続き。
韓流ドラマは相変わらず俺の中には入ってこない。
おかんよ存分に楽しんでくれ。

15時頃ソウルに帰り着く。傘は乾いて空が若干明るい。
昨日(1日目)の反省もあったからベッドに横にならず、
休憩のみで外に出かける。昼に食べたタッカルビの一部は
まだ胃の中に残っている。
夕食までに、昨日行き損ねたサウナ&垢スリに出かける。
夜8時から俺が最も楽しみにしている観劇の予定があり、
早めに垢スリを済ます魂胆。

タクシーの運ちゃんに垢スリの店の名を告げると、
「お奨めできない店です」とのこと。同じ料金で
もっと腕の良いところがあるので案内してくれる、と。

こうやってボッタクリの店に連れて行かれることは
よくあることだが、最終的に決めるのは我々。
店を見てからお金を払えば良い。

明洞から車で15分程度のホテルの中にそれはあった。
「汗蒸幕(カンジュンマク)」という韓国古来のサウナと
垢スリがセットであった。客は日本人が多く子供もいる。
ということは価格は高めの設定だろう。
限界まで値切って交渉決裂なら他の店、がこれまでの俺。
しかし、値段交渉は時に感情もムキ出しになる。
さすがにそういう姿を、海外初のおかんに見せるのも
何か悪い気がした。ま、高いけど想定内やしここでええか。

男女に分かれ、別々になる。貴重品だけ気をつけて。

正直なところ、俺はサウナは苦手である。頭から熱を
受けるのかすぐに頭が不快にボーっとしてくる。
それは冷や水をかけても治らないことを知っている。

風呂と垢スリだけでもいいな、と思いつつ中に入る。

日本人と思われる男性が俺以外に2人湯船に。さらに
2人が奥で垢スリを受けている。最後は塩揉みらしい。
順番が来るまで、瞬間だけサウナ体験しておこう。
麻袋を肩から被り、釜の中に入っていく。炭の気分。

1分もしないうちから汗が滴ってきた。強烈だ。
サウナ好きにはたまらない感覚なのかもしれない。
あの嫌な感じが出てきた。燻製になる前に脱出。

頭に濡れタオルのせればもうちょっと耐えられるかな。
でも俺は十分満足し、日本にもよくある岩盤浴の部屋に
もぐりこむ。ちょうど良い温度。

岩盤浴も15分で飽き、薬草風呂に浸かって順番待ち。
こうしている自分を客観的に想像してみる。

薬草のスープに浸した「豚」を、釜に入れて蒸す。
焦げ目が付く前に取り出して再度スープに漬ける。
これを繰り返してじっくり味を浸み込ませ、最後は
味付けの塩をまぶす。塩揉みしてちょっと長持ちさせる。

自分を料理に例えて、そういえば昔国語の時間に読んだ
「注文の多い料理店」って話はまさに、と気付く。
宮沢賢治やっけ? 彼も同じような経験したんかな?

垢すりの番が回ってきた。
台の上で素っ裸で横になり(あそこにはタオルね)、
ゴシゴシされる。意外とタッチは優しく赤くならん。
それでも小さい団子状の垢がポロポロ落ちる。スゲー。

表も裏も右も左もすっきりして最後に塩もみ。
美味しそうな(?)塩もみ燻製豚の出来上がり。
初めて経験したが、非常にお肌がつるつるだ。

おかんは顔面オイルエステを追加していたためか
出てくるのが遅かったが、テレビで巨人阪神戦(?!)を
見ていたら、おかんが涼しげに現れた。

しかし、今せっかく綺麗にしてくれた顔に、これまた
惜しげもなく化粧をたっぷり塗りたくっている。
ちょっとだけ触れてみたがやっぱり無視された。

さて、夜7時。食事を取ってからだと8時の開演に
間に合わない。おかんを説得して食事は後に。
タクシーで劇場へ向かう。
これまでの韓国旅行(貧乏旅)でも観たかったが
宿代の5倍もする入館料に断念していたものだ。

 NANTA

「乱打」の意味で、韓国の伝統打楽器を取り入れた
キッチンパフォーマンスと紹介されている。

参考動画↓
http://jp.youtube.com/watch?v=0XQ-hFrhE_Q

これ最高でした。また観に行きたい。
ストーリーは単純で、ホテルの厨房に突然の披露宴
料理の依頼。1時間以内に5品の料理を作る。
お遊び好きのコックたちの、笑いあり見せ場有り
観客巻き込んでのドタバタコメディーだが、
包丁とまな板での乱打パフォーマンスも凄かった。
非言語的パフォーマンスやからおかんにも解る。

今回は俺が非常〜に満足。おかんは満足、と言った所。
やっぱりご飯食べてからの観劇のほうが良かったか。
でもよぅわらっとったで。

興奮したまま、ホテル近くの焼肉屋へ向かった。
閉店前、箸で食器を乱打したくなる欲求を抑えつつ、
たらふくの肉を食らったのでした。

★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

おかんの朝は相変わらず早い。もうそんな歳か?
今日も外は曇り。でも雨は止んでいる。

「もう辛いのはええで」

集合時間の8時半までに朝ごはんを食べに外へ。
辛くないものを探すのは困難だが、心当たりがあった。
街をぶらぶらすると、すぐにお粥屋さんを見つけた。

おかんはどうも1日目からお腹を壊していたらしい。
火が通っているものしか食べてないはずだが…
1日目に明洞で飲んだメロンジュースか南大門市場で
食べたチヂミの油が悪かったか。俺は何ともなかったが。
じゃあ今日の昼もやさしいものやね。

8時半。ホテルロビーに現れたのは昨日のガイドさん。
チョウさんって言ったかチャンさんって言ったか忘れた。
勝手知ったる相手である。今日もおかんをよろしく。
2人を乗せた4駆は郊外まで50分走る。今日も貸切。

今日は「チャングムの誓い」の撮影所ツアー。
一箇所で大きなオープンセットを作って撮影されたらしい。
流行のツアーとのことだったが、撮影地に着いても
ほとんど客はいなかった。まだ時間が早いのだそうな。

ガイドさんは随分急ぎ足で回ったがその理由が解った。
後から来るわ来るわ団体様。ほとんど日本人のおば様。
最初に想像していた韓流ツアーの光景があちこちに見られた。
団体を引き連れるガイドは、言うことを聞かないおば様に
辟易しつつ、大声出して小旗で長い列を引っぱっていた。

「あんなん収拾つかんなぁ」

うちの団体(計3人)はおかんに合わせてるからね。
セットのお碗に触ったり、スチロール製の瓦を叩いてみたり
おいおい、ってこと結構あったで。
でもまぁ、比較的言うことは聞けてると思うぞ。
あ〜大阪のおばちゃんの団体を想像するだけで恐ろしい。

撮影に使われた衣装を試着できるコーナーがあった。
まだ人がいない時間だったから、おかんの要望に応え、
俺も試着してみることにした。王様のかっこう。結構似合う。
おかんは大奥の衣装。ガイドは一緒にポーズを要求。
これも恥ずかしい時間だったが、まだ大丈夫。
その後の時間に比べれば。

姿は見えねども、団体様の声がどんどん近づいてくる。

「そろそろ衣装はええかな、暑いし」
「そやな」

おかんも近づく声を聞き、俺の意図も察し同意した模様。
しかし、我らのガイド、空気を読め。あっちこっちに
誘導し、このポーズ、あのポーズと我等の行動を指図。
いや、もういいから、と言う声を遮り、ではあっちへ、と。

そうこうしているうちに、いつの間にか団体様が目の前で、
衣装を着た我ら2人を好奇の目で見ている。

おい、この糞ガイド!

こうなれば恥ずかしがってるほうが恥ずかしい。
その気になってやったわ。

酒を注いでもらう格好
庭で佇む格好
空を指差す格好(これが一番恥ずかしかった)

途中で抵抗を見せたが全く聞き入れず、ではこちらへ、と。
団体様は衣装を着ず、ガイドが俺の衣装の説明を小声でする。
3分ほどで去っていったが非常に長い時間に感じた。
どうだ、気が済んだか!?しかし糞ガイドは不満気。

「カメラの電池がもてば、もっと撮れたのに。
でも、人で混む前に全部できてよかった」と。

確かに一周りするのも衣装も撮影もほぼ全部できた。
カメラの電池切れに助けられた。どんだけ撮ったんや…

しかし、「チャングムの誓い」は話を聞いてるうちに
一回見てみようかなと思えた。
昔話にありがちなサクセスストーリーではあるが、
何と言っても女優さん(イ・ヨンエ)がめっちゃ綺麗〜。
動機はいつもこんな。ポニョは観たいが動機が弱い。

恥ずかしい時間にかいた汗を拭き、一時休憩。
撮影所の中にある喫茶店で三味茶を飲む。
おかんはアイスを食べながら、衝撃発言。

「チャングムの誓い、観てみたいなぁ」

え!!?? 観たことないん?! ここまで来て?!
昨日めっちゃ乗り気でガイドにお願いしてたやん。
「だってヨン様出てないし」って言われるのは目に見える。
確かに昨日ほど興奮してない。冷静に撮影所歩いてる。

「でもちょっとは観たことあるで」

はいはい。よく読めました、この空気。
ええんやで、韓国での時間は好きなように使ってくれ。
俺はNANTAを観れて焼肉食べられればもう満足やから。

離れて休憩していたガイドは、その後も撮影の裏話など
いろんな話を聞かせてくれた。おかんの返事は乾いてる。
俺が代わりに相槌を打つ。
そんな時間をホテルに帰り着くまで続けた。

ありがとう、ガイドさん。糞ガイドとか思ってごめんな。
今日の一生懸命の仕事は無駄にはしません。
帰っておかんに「チャングム」観せます。俺も観ます。

ホテルは朝、既にチェックアウトし、荷物を預けている。
手ぶらのまま昼を食べに。ソウルでの最後の食事だ。
辛いものはイヤというおかんに合わせ、麺類のある店に入る。
俺は鍋(辛い)を食べ尽くす。

韓国うどんを食べながら、おかんが言う。

「韓国で嫁さんに会わせるんかと思ってたわ」

赤い汁を噴き出しそうになる。確かに日本を発つ前に
ソウルの友人2人とメールで連絡をとろうとしていた。
美味い焼肉屋さんを地元人に聞こうと。フロリダで
出会った2人(男1女1)やから8年ぶりの再会であった。
楽しみだったが連絡つかないのと仕事の時間とで折り合わず
結局会えないでいたのだった。

いつになるか分からんが、会わせる時はちゃんと言います。

さて、ホテルのロビーで空港までの送迎バスを待つ。
飛行機がPM7時で集合がPM2時って早すぎやな。
途中お土産屋さんに寄るのだそうな。もう買ってるのに。
空港からの送迎が来なかったのと同様、ホテルからの
送迎も現れず、40分が経過する。
「ムナカタさ〜ん」、と呼んで人を探していた人がいたが
あれは俺たちを探して名前を間違えていたんじゃないか。
海外でのツアーってこんなもんか。

「また自分らでいこか」
「いこいこ」

さらに20分待ってホテル前から空港バスに乗り込んだ。
ほどよく効いたクーラーと広い座席に沈み込んだら
スーッと眠り込み、空港までは一瞬だった。
おかんも寝起き顔。おつかれさん。

飛行機の中でも機内食食べたらおかんは眠っていた。
初めての海外で、俺が傍にいたとはいえ疲れたのだろう。
お腹を壊し、食事が合わなかったのは辛かったろう。
次の夏休みも、俺が独身ならどっか行こか。
海外が嫌なら国内でも良いやろう。

おかんはもうすぐ60歳。随分背が小さくなった。
旅行はおかんがかつてお婆ちゃんにしていた孝行だ。
娘がいたならもっと早くからこんな旅してたやろうにな。
すまんな、放蕩息子で。

寝息を立てるおかんのとなりで、機内食の残りのお茶を
すすり、淡路島に近づく画面上の飛行機を追いつつ、
こんな時間がいつまでもてるかを考えた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★

ひろぽんとおかんの韓国紀行〜 完

★ひろぽん(さん)のプロフィール

(大阪)
三宝幼稚園→三宝小学校→転校→雄信小学校→
泉南中学校→和泉高校→倒産した予備校
→某公立大工学部→中退

(北海道)
→北大医学部(恵迪寮,フロリダ・タンパ込み)
→室蘭のなんとか記念病院

(東京)
→東京新宿のなんとか医療センター

放浪の旅が大好きな関西人。
4月より東京の住人になりました。
夏の暑さを何とか乗り切り、
雪のない冬にどんな楽しみを見いだそうか思案中。

次の目標は南極越冬隊に参加すること。
熱帯アジアでの仕事にも憧れる。

独身。犬と戯れる生活がしたい。
愛読書は「星の王子さま」
いつまでもトムソーヤみたいに生きたい。
どうぞよろしく(^^)v 

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