非加熱蜂蜜と加熱蜂蜜の違い|酵素・香り・安全性まで養蜂家が徹底解説

非加熱蜂蜜と加熱蜂蜜の違い|酵素・香り・安全性まで養蜂家が徹底解説

「生はちみつ(非加熱)」と「加熱はちみつ」は、見た目が似ていても中身の性質が大きく異なります。
この記事では、酵素や香りなどの成分、保存性や安全性、使い分けのコツまでを養蜂家の視点でわかりやすく解説します。
購入時のチェックポイントや、日々の食べ方の工夫もまとめました。

吉岡養蜂苑【島根県津和野町須川のハチミツ(セイヨウミツバチ)】

非加熱蜂蜜(生はちみつ)とは?

  • 処理温度:採蜜後に40℃以下で扱い、加熱殺菌や高温の溶解を行わない蜂蜜を指します。
  • 成分の特徴:グルコースオキシダーゼ、ジアスターゼ、インベルターゼなどの酵素活性が比較的保たれやすいほか、花由来の香り成分やポリフェノールも豊かです。
  • 風味:蜜源(アカシア、レンゲ、ソバ、栗など)の個性がはっきり出るのが魅力です。
  • 状態変化:低温期に結晶化しやすい(品質劣化ではありません)。

加熱蜂蜜とは?

  • 処理温度:流通の安定化や結晶化抑制を目的に、60〜70℃以上の加熱処理を行った蜂蜜。
  • 成分の変化:熱に弱い一部の酵素や揮発性の香り成分は減少しやすく、代わりに均質で扱いやすい状態になります。
  • メリット:とろみが安定し、ボトリング・輸送・店頭での扱いやすさに優れます。

ひと目で分かる比較表

項目 非加熱蜂蜜(生) 加熱蜂蜜
酵素・栄養 熱に弱い成分が残りやすい 一部が失活・減少しやすい
香り・風味 蜜源の個性が豊か クセが少なく均一
結晶化 しやすい(品質問題ではない) しにくい
保存・流通 適正保管で長期可、管理にやや注意 温度変化に強く扱いやすい
価格帯 こだわり品として高めになりがち 手頃な傾向
用途の向き 生食、香りを活かす使い方 加熱調理、製菓、業務用

成分と品質の違い

  • 酵素活性:非加熱ではグルコースオキシダーゼなどが残りやすい。加熱では活性が低下。
  • HMF:加熱や長期保存で上昇しやすい品質指標。
  • 香り成分:非加熱は蜜源の香りが残りやすい。

安全性と保存性

  • 乳児ボツリヌス症:非加熱・加熱を問わず1歳未満の乳児に蜂蜜は与えない。
  • 保存方法:直射日光・高温多湿を避け、常温暗所で保管。冷蔵は結晶化を早めるため不要。

結晶化は劣化ではない

結晶化は自然現象であり品質には問題ありません。湯せんで40℃前後を保ちながらゆっくり溶かすことで再び液化します。

はちみつの結晶化は品質の証?戻し方と最適な保存温度を説明します。

用途別の使い分け

  • 非加熱蜂蜜:ヨーグルト、パン、チーズ、フルーツなどの生食。
  • 加熱蜂蜜:料理や製菓、ホットドリンク。

購入時のチェックリスト

  • ラベル表示が「はちみつ」のみか。
  • 「非加熱」「低温充填」の記載や説明。
  • 蜜源と産地が明記されているか。
  • 結晶の有無(非加熱の目安)。

まとめ

  • 非加熱蜂蜜=香りと栄養を楽しむ贅沢品。
  • 加熱蜂蜜=流通しやすく料理向き。
  • 結晶化は自然現象で劣化ではない。
  • 乳児への使用は不可。

目的や用途に合わせて蜂蜜を選び、暮らしに取り入れてください。

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参考にした書籍

ひとさじのはちみつ/前田京子【おいしいおうち薬局の作り方】

養蜂大全【本気で養蜂を始めたい人のための決定版バイブル】

ミツバチの教科書【養蜂初心者向け/基礎が図解でわかる一冊】



この記事を書いた人

シモダグンジシモダグンジ

旅する雑貨屋/只今島根県津和野町に移住して蜂蜜と森作り
1979年3月生 温泉と焚き火と森林が好きな泳げないうお座ひつじ年。
田舎暮らし、ときどき旅。ときどきイベント出店。
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