
ブラフマー(Brahma)は、ヒンドゥー教の三大神(トリムルティ)の一柱として知られ、宇宙を創造した神として崇拝されています。他の二柱であるヴィシュヌ(維持神)とシヴァ(破壊神)とともに、ブラフマーは宇宙のサイクルを司る中心的な存在です。しかし、現在のインドではブラフマーを祀る寺院は非常に少なく、その中でもプシュカルのブラフマー寺院は特に有名です。本記事では、ブラフマーの神話、象徴、そしてプシュカル寺院の詳細について掘り下げます。
ブラフマーとは?
基本情報
- 名前の意味: 「広大なもの」や「無限」を意味し、宇宙の根源を象徴。
- 特徴:
- 四つの顔(全方向を見渡す全知性を表す)。
- 四本の腕(知識、創造、時間、純粋さを象徴)。
- 乗り物は白鳥(ハンサ)。
- 役割: 宇宙と生命を創造する神。
ブラフマーの象徴
ブラフマーが持つ四本の腕には以下の物が描かれます。
- ヴェーダ: 知識の源泉。
- 水壺: 生命の創造に必要なエネルギーを表す。
- 蓮の花: 純粋さと生命の象徴。
- 数珠: 時間の無限性と瞑想を表現。
ブラフマーの神話とエピソード
1. 宇宙創造の神話
ブラフマーは、宇宙の根源であるブラフマンから生まれた存在とされています。一説では、ヴィシュヌの臍から生えた蓮の花から誕生したとも伝えられています。彼は、四つの顔で全方向を見渡しながら、宇宙を創造しました。
2. ブラフマーとサヴィトリ
ブラフマーには正妻としてサヴィトリという女神がいます。しかし、プシュカル湖での重要な儀式の際、サヴィトリが遅れて到着したため、ブラフマーは儀式を完了するために代わりの女性、ガーヤトリーを即座に妻として迎え入れました。この行動がサヴィトリの怒りを買い、ブラフマーが信仰を集めなくなる原因の一つになったと言われています。
プシュカルのブラフマー寺院
プシュカルのブラフマー寺院は、世界でも数少ないブラフマーを祀る寺院の一つです。ラージャスターン州の聖地プシュカルに位置し、その歴史と神聖さで広く知られています。
1. 寺院の歴史
この寺院は14世紀に建設されたとされ、伝説によればブラフマー自身がプシュカル湖を創造した際に、聖なる地として選ばれた場所に建てられました。
2. 建築と内部構造
- 建築様式: 寺院は伝統的なヒンドゥー建築で、石造りの構造と精巧な彫刻が施されています。
- 本尊: 内陣には四つの顔を持つブラフマーの像が安置され、鏡を通じて背後の顔も拝むことができます。
- 入口の装飾: 壁にはブラフマーの神話を描いた彫刻が並び、訪れる人々を神聖な世界へと誘います。
3. プシュカル湖との関係
寺院のすぐそばにはプシュカル湖があります。この湖はブラフマーが落とした蓮の花が地上に触れた際に生じたと伝えられ、インド全土から巡礼者が訪れる重要な聖地です。巡礼者は湖で沐浴を行い、魂の浄化を願います。
4. サヴィトリ マタ寺院
ブラフマー寺院の近くには、ブラフマーの正妻であるサヴィトリを祀る寺院もあります。山の上に位置し、プシュカルの全景を一望できる観光名所としても有名です。
5. 参拝の心得
- 服装: 寺院では、露出を控えた服装が求められます。
- 持ち物: カメラや貴重品の持ち込みは禁止されており、ロッカーを利用します。
- ベストシーズン: 10月から11月にかけて行われる「プシュカル・フェア」の時期が特に賑わいます。
ブラフマー信仰の現代的な位置づけ
ブラフマーは宇宙創造という役割をすでに果たした神とされ、ヴィシュヌやシヴァのように日常的な崇拝を受けることは少ないです。しかし、プシュカル寺院のような特定の場所では、今なお多くの人々が彼への感謝と祈りを捧げています。
まとめ
ブラフマーは、宇宙の根源と創造を象徴する存在であり、その神話と象徴はヒンドゥー教の哲学や信仰の核心に位置しています。そして、プシュカルのブラフマー寺院は、ブラフマー信仰の中心地として、その神聖さと美しさで多くの巡礼者と観光客を引きつけています。インドを訪れる際には、プシュカル寺院とその周辺の聖地を巡ることで、ブラフマーの持つ深い意味と魅力を感じることができるでしょう。
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