パールバティー

パールヴァティーは、ヒンドゥー教の中で最も重要な女神の一柱であり、破壊と再生の神シヴァの妃として知られています。彼女は愛、献身、家庭の幸福を象徴すると同時に、力強い女神ドゥルガーや恐ろしいカーリーとしての側面も持っています。本記事では、パールヴァティーの基本情報から神話、興味深いエピソード、そしてその象徴的な意味について深く掘り下げます。

パールヴァティーとは?

基本情報

  • 名前の意味: パールヴァティー(Parvati)は「山の娘」を意味し、ヒマラヤの王ヒマヴァットと女神メーナーの娘として生まれました。
  • 役割: 愛と家庭の守護者、また悪を打ち負かす戦士としての側面も持つ。
  • シヴァとの関係: 破壊と再生の神シヴァの妃であり、息子にはガネーシャとスカンダ(カルティケーヤ)がいます。

パールヴァティーの神話とエピソード

1. シヴァとの恋と結婚

パールヴァティーは幼少の頃からシヴァに深い愛情を抱いていました。しかし、シヴァは瞑想と修行に没頭しており、彼女の存在に気づきませんでした。パールヴァティーは彼の心を得るため、厳しい苦行を行いました。
その献身に心を動かされたシヴァは、彼女を認め、二人は結婚しました。この物語は、真の愛と献身が試練を乗り越える力を持つことを教えています。

2. ガンガーとの関係

パールヴァティーの妹として、ガンジス川の女神ガンガーがいます。ガンガーが地上に流れる際、その勢いを和らげるためにシヴァが髪で受け止めました。このエピソードは、パールヴァティーとガンガーの深い家族の絆を示しています。

3. ドゥルガーとカーリーへの変身

パールヴァティーは、必要に応じて強大な女神に変身することがあります。

  • ドゥルガー: 悪魔マヒシャを倒すために創造された戦士の女神。ライオンに乗り、多くの武器を手にした姿で描かれます。
  • カーリー: 破壊と再生を司る恐ろしい姿。戦いの際に敵を圧倒する無敵の力を持っています。

これらの変身は、パールヴァティーが持つ柔らかさと強さという二面性を象徴しています。

4. カーマの焼失と復活

愛の神カーマが瞑想中のシヴァを誘惑しようとした際、シヴァは第三の目から火を放ち、カーマを焼き尽くしました。パールヴァティーはこの行為を悲しみ、シヴァに懇願してカーマを非物質的な存在として復活させました。この物語は、欲望と精神的修行のバランスの重要性を示しています。

5. 肌の色の変化

一部の伝説では、パールヴァティーはもともと暗い肌の色をしていました。彼女は他の神々からの指摘を受けて修行を行い、金色の肌を手に入れたとされています。このエピソードは、自己改善と自己受容のテーマを含んでいます。

象徴と崇拝

1. 母性と家庭の象徴

パールヴァティーは、母性と家庭の守護者として広く崇拝されています。彼女は家族の幸福や繁栄を祈る人々にとって重要な存在です。

2. 強さと勇気の象徴

彼女の変身であるドゥルガーやカーリーは、悪に立ち向かう力の象徴です。これらの姿は、困難な状況に立ち向かう勇気を人々に与えています。

パールヴァティーにまつわる豆知識

  1. ガネーシャの創造者 パールヴァティーは自らの体の垢からガネーシャを創り出しました。この物語は、創造性と母性の象徴です。
  2. ドゥルガー・プージャ インドでは毎年、ドゥルガー(パールヴァティーの化身)を祝う祭りが行われます。この祭りでは、悪を打ち負かす彼女の力を称えます。
  3. カーリーと死の神話 カーリーとしてのパールヴァティーは、戦いの興奮から暴走することがあります。その際、シヴァが自ら彼女の前に横たわり、暴走を鎮めるというエピソードがあります。

日本におけるパールヴァティー

パールヴァティーは直接的には日本で知られていませんが、彼女の変身であるドゥルガーやカーリーが一部の仏教文化に影響を与えています。また、カーリーは日本の「大黒天」と結びつき、福徳の神として信仰されています。

パールヴァティーに関連する有名な寺院

1. カイラーシュ寺院(Kailasa Temple)

  • 所在地: インド、マハラシュトラ州エローラ
  • 特徴: 岩を削って作られた壮大な寺院で、シヴァとパールヴァティーの結婚をテーマにした彫刻が多数あります。この寺院は、ヒンドゥー教建築の最高傑作の一つとされています。

2. メーナークシ寺院(Meenakshi Temple)

  • 所在地: インド、タミル・ナードゥ州マドゥライ
  • 特徴: パールヴァティーが「メーナークシ」という名で崇拝されている寺院。シヴァはここで「スンダレーシュヴァラ」として祀られています。美しいゴープラム(門塔)と華やかな彫刻で有名。

3. ヒマーヴァント・ケーダール(Himavant Kedarnath Temple)

  • 所在地: インド、ネパール国境近くのヒマラヤ山脈
  • 特徴: パールヴァティーがシヴァと結婚する前に瞑想した場所とされる。壮大な自然の中に位置し、信者にとって重要な巡礼地です。

4. ドゥルガー寺院(Durga Temple)

  • 所在地: インド、ウッタル・プラデーシュ州ヴァーラーナシー
  • 特徴: ドゥルガー(パールヴァティーの戦士としての化身)を祀る寺院。悪を打ち負かす力を象徴する赤い建築が印象的です。

5. カンチ・カーマクシ寺院(Kanchi Kamakshi Temple)

  • 所在地: インド、タミル・ナードゥ州カーンチープラム
  • 特徴: パールヴァティーが「カーマクシ」として崇拝される寺院。豊穣と繁栄をもたらす女神として、地元の人々に深く信仰されています。

6. パールヴァティー寺院(Parvati Temple)

  • 所在地: インド、マディヤ・プラデーシュ州カジュラーホ
  • 特徴: カジュラーホの寺院群の一部として世界遺産に登録されている寺院。繊細で美しい彫刻で、パールヴァティーへの信仰を表現しています。

まとめ

パールヴァティーは、その多面的な性格と豊かな神話を通じて、ヒンドゥー教徒にとって愛と力の象徴であり続けています。彼女の物語は、家庭と愛、強さと勇気、献身と試練の大切さを教えてくれます。彼女のエピソードや象徴を知ることで、インドの文化や信仰への理解が深まるでしょう。

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シモダグンジシモダグンジ

旅する雑貨屋/只今島根県津和野町に移住して蜂蜜と森作り
1979年3月生 温泉と焚き火と森林が好きな泳げないうお座ひつじ年。
田舎暮らし、ときどき旅。ときどきイベント出店。
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