新しく友達になって家に招かれて本棚に並んでて「これ俺も持ってる」ってなるランキング上位の一冊、福岡正信さんの「わら一本の革命」を紹介します。
福岡正信の自然農法とは?
自然の力を最大限に引き出す「不耕起・無肥料・無農薬・無除草」
福岡正信氏は、人間の手を極力加えずに自然の力で作物を育てる「自然農法」を提唱した農業の革命家です。彼の哲学は、「不耕起(耕さない)、無肥料、無農薬、無除草」という四つの原則に基づいています。これらの考え方は、近代農業の効率性を重視する姿勢に反しているように見えますが、実際には自然の力を最大限に引き出し、人と自然が共生できる持続可能な農業の未来を示しています。
福岡正信の哲学と自然農法の特徴
福岡氏が提唱する自然農法は、人間が自然に対して過度に干渉することなく、自然の生態系を尊重しながら作物を育てる方法です。この農法の特徴は、非常にシンプルでありながら、従来の農業技術とは大きく異なるものです。
- 不耕起(耕さない): 土を耕さないことで、土壌の自然な構造を保ち、乾燥を防ぎます。耕した土は乾燥しやすく、微生物や植物の根が損なわれるため、自然の土壌をそのまま活用することが大切だと考えます。
- 無肥料: 化学肥料や有機肥料さえも使用せず、自然の栄養循環に任せます。肥料を与えると作物を過保護にし、根本的な成長力を弱めるとされています。
- 無農薬: 害虫の駆除を農薬に頼らず、自然のバランスで害虫を抑制します。益虫や自然の生態系が機能することで、害虫の発生を最小限に抑えることが可能です。
- 無除草: 雑草も敵ではなく、土壌の保護者として重要な役割を果たす存在です。雑草を除去せず、生態系の一部として共存させます。
福岡正信さんの名言
何もしないようにするには
昼寝するにはどうすればいいか
「人間というものは、何一つ知っているのではない、ものには何一つ価値があるのではない、どういうことをやったとしても、それは無益である、無駄である、徒労である」。突拍子もないように思われるか知らんが、言葉でいうとこういうことなんです。こういうような思想が突然、まだ若かった私の頭に発生したわけです。ですけれども、その“人知・人為は一切が無用である」という結論が、その思想が、正しいのか正しくないのか、自分自身にもわからなかった。ただ確固とした信念だけが自分の内で燃えている、というような状態だったんです。(わら一本の革命 本文より引用)
粘土団子による自然緑化
福岡正信氏は、農業だけでなく、砂漠緑化にも貢献しました。その象徴的な手法が「粘土団子」です。粘土団子とは、種子を粘土で包み、乾燥や害虫から守りながら発芽を促す手法です。これは乾燥地帯や荒地においても自然に発芽し、豊かな生態系を育てるための持続可能な方法として注目されています。
- 作り方: 種を粘土と混ぜ、ゴルフボールサイズの団子を作り、日陰で乾燥させます。風が穏やかな日に広範囲に撒布することで、自然の力で発芽が促進されます。
- メリット: 粘土団子は低コストで作成でき、長期的な視点で荒地や砂漠の緑化を進める方法として非常に効果的です。粘土が種子を守り、水分を保持するため、乾燥地帯でも発芽が期待できる点が大きな利点です。
『わら一本の革命』あらすじ―福岡正信の自然農法の哲学
福岡氏の著書『わら一本の革命』は、彼の自然農法の哲学とその実践をまとめた一冊です。この本では、自然の力を信頼し、手を加えずとも豊かな収穫を得る方法が詳細に記されています。
「革命というものは、このわら一本からでもおこせる」
「このわらは軽くて小さい。だが人びとはこのわらの重さを知らない。このわらの真価を多くの人びとが知れば、人間革命がおこり、国家社会を動かす力となる。」
自然農法の核心
『わら一本の革命』の核心は、自然が本来持つ力を最大限に活かし、作物を育てることです。農業における人間の過度な介入が生態系を乱し、環境を破壊していると指摘し、自然の力で土地を回復させる道を説いています。彼の四原則「不耕起・無肥料・無農薬・無除草」を実践することで、田畑が豊かになる様子が描かれています。
「わら一本」に込められた意味
本書のタイトルにもある「わら一本」は、福岡氏の農法を象徴する象徴的な道具です。稲のわらを種の保護に使用するという簡単な方法を取り入れることで、種が鳥や害虫から守られ、発芽が促進されます。このシンプルなアプローチこそが、自然農法の力を示すものです。
自然農法のメリットとデメリット
メリット
- 省力化: 耕さず、肥料も農薬も使わないため、作業が簡素化されます。
- 低コスト: 化学肥料や農薬に頼らないため、農業にかかる費用が削減されます。
- 安全な農産物: 農薬や化学肥料を使用しないことで、自然で安全な作物が収穫できます。
- 環境への負荷軽減: 自然の力を活用し、土壌や水の汚染を防ぎながら生物多様性を保全します。
デメリット
- 収量の安定性: 慣行農業と比較すると、初期段階では収穫量が不安定になることがあります。
- 技術と経験が必要: 自然の力を引き出すためには、環境観察や長年の経験が必要です。
まとめ
福岡正信氏の自然農法は、自然との共生を目指す農業の新しい道を示しています。「不耕起・無肥料・無農薬・無除草」という四原則に従うことで、自然の力を最大限に引き出し、持続可能な農業を実現します。これは、単なる農業の方法論ではなく、人と自然が共に生きるための哲学でもあります。『わら一本の革命』は、現代の農業や生活のあり方を問い直し、持続可能な未来を築くための一冊として、多くの人に知って欲しい内容の本です。