テラプレタとは? アマゾンの黒い土とその驚くべき農法
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テラプレタの概要
テラプレタ(ポルトガル語で「黒土」の意味)は、主にアマゾン川流域に広がる非常に肥沃な土壌の一種です。この黒く見える土壌は、古代アマゾンの先住民が何世代にもわたって手作業で作り上げたもので、「アマゾンの黒土」や「インディアンの黒土」とも呼ばれています。通常の土壌に対して、テラプレタは高濃度の炭や有機物が含まれている点で特徴的です。
テラプレタの特徴は、長期間にわたって肥沃な状態を保つことができ、連作障害を起こさないことです。このため、現代においても商業的に掘り返されて販売されることがありますが、それでもその肥沃な性質は周囲の土壌にも広がり、微生物活動を活性化させる特性を持っています。テラプレタは、微生物が豊富な炭の中で住処を作り、さらにその微生物が土壌環境を改善するという循環が続いているのです。
テラプレタの作り方とその成分
テラプレタの作り方は、古代のアマゾン先住民が炭、骨、陶器の破片、動物の糞、植物の残渣(ざんさ)、そして窒素、リン、カルシウムなどの栄養素を土壌に添加することで作られました。このような成分の組み合わせが、非常に肥沃な土壌を形成し、その結果、長い年月をかけて非常に安定した土壌が作られたのです。
炭の役割は特に重要で、テラプレタの黒い色は、この炭の含有量が20%にも達するためです。さらに、深さ2メートル近くまで炭が含まれていることもあり、大規模に作られたものでは、10アールあたり50トンもの炭が蓄積されています。このような高密度な炭が、土壌に長期にわたって栄養分を保つ能力をもたらしているのです。
テラプレタ農法と現代への応用
現代の環境や農業問題を解決するために、テラプレタ農法は再び注目されています。特に、スラッシュアンドチャー農法と呼ばれる技術は、従来のスラッシュアンドバーン農法の欠点(養分の流出や土地の劣化)を克服する手法です。テラプレタ農法は、炭や有機物を土壌に取り入れることで、栄養素や微生物の活動を保ち、長期にわたって肥沃な土壌を維持することが可能です。
この農法は、特に栄養分が少ない土壌で有効です。アマゾン地域の多くの土壌は不毛であり、短期間しか農業に適さないとされていますが、テラプレタはその例外です。微生物や有機物が豊富に含まれることで、土地が何度も再利用可能になるという大きな利点があります。
テラプレタの持続的な可能性
テラプレタの持続性は、単に炭を土に入れるだけではなく、その炭の量と質にかかっています。例えば、テラプレタの土作りに必要な炭の量は土の20%に達するため、単に炭を少量使用するだけでは、同じ効果を期待することはできません。そのため、繰り返し炭を投入し続けることが、土壌の安定と肥沃度の維持につながります。
テラプレタの育土は非常に時間のかかるプロセスであり、何百年もの間、炭や有機物を絶えず追加し続けてきた結果として形成されたものです。しかし、現代の技術を駆使すれば、テラプレタの土壌改良技術を短期間で再現できる可能性があります。
テラプレタの歴史と先住民の知恵
アマゾン川流域に見られるテラプレタは、紀元前450年から紀元950年の間に先住民によって作られたと考えられています。古代のアマゾン住民は、複雑な社会構造を持ち、大規模な農業を行っていました。これにより、テラプレタはアマゾンの農業革命を支える重要な技術となっていました。
16世紀、スペインの探検家フランシスコ・デ・オレリャーナがアマゾン川を横断した際、数百キロにわたる人口密集地を発見した記録があります。この地域の農業は、テラプレタの技術によって支えられていたと考えられています。しかし、16〜17世紀のヨーロッパからの疾病や奴隷狩りにより、この文明は壊滅してしまいました。その結果、テラプレタ農法の実践は一時途絶えたとされています。
テラプレタの未来と現代農業への応用
テラプレタの作り方やその技術は、現代の農業にとっても有益な知識です。バイオ炭を活用した土壌改良技術は、持続可能な農業を目指すための重要な一歩であり、スラッシュアンドチャー農法など、古代の知恵を再評価することで、現代の環境問題にも対応できる可能性があります。
また、テラプレタを活用することで、農業の持続性が向上し、環境負荷を減らすことが期待されています。アマゾンの先住民が築いた知恵を現代に活かし、再び肥沃な大地を取り戻すことができるでしょう。
微生物たっぷり土をDIY
モキ製作所の無煙炭化器で焼いたポーラス炭(バイオ炭)を、えひめAI2(マイエンザ)に生蜂蜜を混ぜて更に発酵、培養した液に浸ける。数日置いてキエーロ・コンポストに投入。水分多めで虫や匂いが心配なら竹酢液か木酢液を少々。テラプレタの土作りに必要な炭の量は土の20%
— シモダグンジ/旅族 (@shantihtown) November 3, 2024